アメリカで”水晶の夜”が発生する

トランプ大統領の関税政策が発動されれば、米国内の物価は急上昇し、多くの米国内企業は倒産に追い込まれ、街には失業者が溢れるだろう。ただでさえインフレに苦しむ米国民に更なる困難が襲い、貧富の格差は一層拡大する事だろう。

トランプ大統領は、「移民がペットを食べている」とか、「20フィートの高さからボーリングの球をボンネットに落として凹めば検査に通らない」(この試験方法で凹まないのは米国製のエイブラムス戦車くらいだろう(笑))とか、根拠不明、出所不明の発言を繰り返しているが、今後米国内での貧富の格差が拡大した時に、このような不用意な発言をすれば、移民やマイノリティーに対して”水晶の夜(Kristallnacht)”が発生する事になるだろう。

トランプ暴落で儲けたのは誰だ?

トランプ大統領の関税政策の余波で世界の株価が暴落している。株価の暴落は企業の資産価値の目減りであり企業としては大問題であり、私の年金運用も心配だが、株式市場はゼロサムであり、株を単に金儲けの手段として売り買いしている投資家にとっては、損をしている投資家もいれば得をしている投資家もいる。

ジョセフ・ケネディは米国第35代大統領ジョン・F・ケネディの実の父であるが、大暴落による世界恐慌時に上手く売り抜けて、巨万の富を手にしている。この豊富な資金が後に息子を大統領に押し上げる原資となった。

お恐らくトランプの周辺にも今回の株価暴落で大儲けした人は居るはずだ。

トランプの壮大な実験

私は一応理工系の大学を卒業している。科学の分野においては先ず現実に起きている事象を良く観察し、何故そのような事象が発生するのか仮説を立て、その仮説で正しく事象を再現できるか実証実験を行い、種々の実験を通して仮説が正しい事が証明できれば、その仮説は定説となり理論となる。

経済の分野において、現実の経済動向を観察して仮説を立てることは可能であるが、余りにも規模が大きすぎて現実に実験することは出来ない。総ての経済理論は実は仮説で終わっている。これまでもマル経や近経など種々の経済論は提唱されて来たが、実際の経済活動を正しく証明している様には見えない。経済学を研究している人々の非難は承知で言うが、経済学は仮設の段階で終わっており、現実には証明されておらず、科学とは成っていない。

今回アメリカのトランプ大統領は「関税によりアメリカ経済を復興できる」との仮説を立て、その証明に向けて国家を挙げて壮大な実験を始めようとしている。その仮説が無残に破綻するか、正しいと証明できるか興味深い処である。