核兵器開発阻止は建前、歴代米大統領に見る中東重視

イスラエルーイラン間の紛争において米国が介入してイランを攻撃した。この軍事行動に関して国際法違反との意見が出ている。この介入理由としてイランの核兵器開発を阻止するためとしているが、未だかってイランが核実験を行ったことは無いし、現実問題として、一発の核爆弾も持っていないと推定される。

この十数年間中東での緊張関係が続いている間に、極東では北朝鮮が何度も核実験を行い、実戦使用可能な核爆弾を開発し、とうとう米国本土まで届く核搭載ミサイルまで開発してしまったが、米国は北朝鮮の核兵器開発に非常に無関心である。これを見ても核開発阻止は単なる建前にしか過ぎない事が判る。

だいいちイスラエル自体が核兵器保有国であると推定されている。歴代の米国大統領の政策を見ると朝鮮戦争とベトナム戦争以降極東に対する関心は薄く(と言うよりこの2戦争は米ソの代理戦争が極東において発生したので米国も参戦せずにはいられなかった)、中東に関して敏感であると感じられる。

現在極東において緊張状態が高まっているが、米国が中東問題の様に介入する意志が在るか不安である。

東京電力訴訟ー争点を間違えれば敗訴するのは当然

東京電力の株主代表訴訟に関する最新の判決では、東京高裁が旧経営陣に対する約13兆円の賠償命令を取り消し、原告側の請求を棄却しました。この訴訟の敗因は「東京電力が津波対策を怠って来た」という点を争点にした事です。

巨大地震や巨大津波の来襲は現代の科学をもってしても予見するのは困難で裁判の争点としては難しいです。それに東京電力福島原発が壊滅し日本国に甚大な被害をもたらしたのは、地震や津波では在りません。当時の映像を見ても地震後も原子力建屋は何の問題も無く立っており、津波後も外観上何の異常も無く立っております(笑)。津波により原子炉建屋が破壊され、原子炉が被害を受けたのなら津波対策は争点になりますが、そうでは在りません。1号機が水素爆発を起こして瓦礫の山となったのは地震の翌日、3号機が水素爆発を起こしたのは3日後、4号機が水素爆発を起こしたのは4日後であり、この間対応する猶予は在ったのです。過去にも新潟地震で柏崎刈羽原子力発電所が甚大な被害を受けましたが、放射能漏れや原子炉建屋の爆発などの被害は出ていません。地震国日本に建設された原発は地震に強いのです。

それでは何が原子炉のメルトダウンと原子炉建屋の爆発に至ったのかと言えば、津波が引き起こした『全電源喪失』です。この全電源喪失により原子炉は制御不能となり大災害を引き起こしたのです。この全電源喪失が発生する可能性は単に津波だけに限らず他の自然災害やテロでも考えられます。

過去にも大前研一氏は全電源喪失の危険性を指摘しております。予測困難な巨大地震や津波と違って当然予見しうる全電源喪失に対して何等対策を講じて来ず、いざ非常事態となって対応策が判らず右往左往する中で原子炉の壊滅的破壊に至った東京電力の責任は重大です。従って裁判の争点は津波対策ではなく全電源喪失時の対策不備とするべきでした。

東日本大震災の前には日本国内に54基の原子力発電用原子炉があり、現在12基が再稼働しています。これらの原子力発電所に全電源喪失時の適切な対応マニュアルが準備され訓練されているか不安です。

長嶋茂雄さんご逝去

長嶋茂雄さんがご逝去されました。後楽園球場に通ってONのプレーをこの目で見ていた時代を思い出します。また一つ時代が過ぎて行った感じです。ご冥福をお祈りします。

日本の米農業について考える

これは私の知っている農家の話であるが、最近は農業も機械化が進み、田植えでも稲刈りでも所有する僅かばかりの田での作業は半日も在れば終わってしまう。何十年も前なら数日掛けて田植えや稲刈りをしていたのだが、格段の進歩だ。

そこで、農家としては1年の内の大部分は空き時間となるので、他に仕事を持ち休日だけ農業をする兼業農家となる。しかし、ここで問題が在る。農業機械は大変便利であるが、同時に大変高価である。僅かばかりの農地から上がる農業収入だけでは機械の支払いが出来ない。他の仕事で稼いだ分を農業機械の支払いに補填しているのが現状だ。

日本の製造業は生産効率で世界のトップに在るが、もしそんな工場管理者が年間数時間しか使わない機械のため高級乗用車並みの金を払って、後の時間は眠っていると聞いたら泡を吹いて卒倒してしまうだろう。

JA全中の山野徹会長が「(現在のコメ価格は)決して高いとは思っていない」と発言しているが、ある意味正しい。多くの農家にとって高価な機械を購入して農業だけで黒字化するためには、5キロ4千円はおろか、1万円出しても足りないだろう。そして、国民はコメを買う事は出来なくなる。一方少子化や農業離れの進む農家としても機械の力を借りず大昔の様に人力に戻ることも出来ない。ここに日本の農業の根本的問題が在る。