1941年11月26日 択捉島単冠湾を密かに抜錨した大日本帝国海軍主力艦隊は、太平洋航路の商船が通常使う航路を避けて北太平洋をハワイ諸島に向かって進んでいた。この途次『ニイタカヤマノボレ』の攻撃命令を受信することになる。
当時、日本の一般国民や兵士を除いて、戦争指導者の中でアメリカと戦争をして勝てると思う人間は一人も居なかった。
明治維新以降、日本は清国やロシアを相手に戦争を行ったが、第一次世界大戦への参戦を除いて、日本が勝てる見込みのある戦争は無かった。どちらの戦いでも大きな会戦において敵主力を撃滅し、有利な条件で講和すると云う形で戦争を終結して来た経緯がある。
今回の戦いでも早期に敵主力を撃滅し、有利な条件での講和を目指すという、虫の良い、希望的観測の、当ての無い、多分に運頼みの、その後の方策を持たない、極めて無責任な形で戦争に突入して行った。