中華帝国とローマ帝国の対決

アメリカ合衆国が建国されたのは1776年で在りその歴史は250年に満たない。一方日本の建国を何を以て現すかは難しい問題で在るが、皇紀で言えば今年は皇紀2684年に当たると思うが、皇紀はその前半は神話であるから歴史的根拠は無い。後漢書に日本の事が登場するのが紀元1世紀頃で在り、日本人による歴史的資料が盛んに登場するのが飛鳥時代以降で在るから、統一国家としての歴史は1400~1500年以上になると思われる。

米国人が日本人に対して浅い歴史しか持たないと感じているか、米国人に以前聞いた事があるが、彼らの答えに驚かされた。彼らは古代ローマ帝国時代から脈々と続く歴史を受け継いでいると思っているのだった。ローマ帝国の滅亡は486年(東ローマ帝国の滅亡は1453年)であるが、その精神性は受け継がれ主にゲルマン系の種々の国王が継承し、後に神聖ローマ帝国を名乗るようになった。東欧の国のルーマニアはローマ+ニアであり’ローマ人の国’と云う意味である。この様にローマ人の末裔であるという意識は、単に長靴の形をした半島の居住者だけに止まらず、民族、人種、言語、宗教を超えて欧州全体に広がっている。米国も欧州移住者が大半を占め、この意味ではアメリカ合衆国は現在のローマ帝国であると言える。

一方中華帝国であるが、辛亥革命により清国が1911年に滅亡後、軍閥が割拠する動乱期が続いたが蒋介石の国民党政府がまとめ、毛沢東を中心とする中国共産党が国民党政府を打倒し、現在まで一党独裁体制が布かれている。中国国民にとっては毛沢東こそ新たな中華帝国の皇帝であると認識し、代々の指導者が実質的に皇帝として人民の上に君臨してきた。

アヘン戦争以来諸外国に蚕食され続けた中華帝国は一時期非常に国力が低下していたが、国交正常化以来日本や米国の支援を受け、急速に国力を回復し、今や米国を追い抜く勢いである。この中国の強大化に伴い、中華帝国としての意識が非常に大きくなって来ている様に感じられる。

これまでの歴史において地理的問題もあり、中華帝国とローマ帝国が互いを意識した事は在っても(後漢書に大秦王安敦(アントン-第16第ローマ皇帝マルクス・アウレリウス・アントヌスであると云われる)が朝貢したという記録があるが根拠は無い。) 、直接対峙した事は無かった。しかし、今や世界は狭くなりこの新しい中華帝国と新しいローマ帝国が覇権を賭けて直接対峙しようとしている。

双方核武装国であるから、直接戦争する事は無いであろうが、覇権を賭けての代理戦争が勃発する恐れはある。現在正常不安定なミャンマーが第二のベトナムと成らない事を祈るばかりである。

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