かろうじて免れた米国の民主主義

事前の予想に反して、大敗すると思われていた米国の議会選挙で、民主党が善戦しました。

私は、別に米国の市民権を持っているわけでは無いので、どちらが勝とうと関係ないのですが、もし、投票権を持っていたら共和党によりシンパシーを感じる人間ですが、トランプ前大統領は認めることは出来ません。米国の多くの市民もトランプに嫌悪感を感じ、投票が民主党に流れたものと思われます。まだ米国の民主主義は健全性を保っていると言えます。

歴史は古代共産主義社会、王権社会、封建社会、絶対王政社会、議会制民主主義社会と進んで来たわけですが、単に時代が進めば民主主義が達成されると言うわけでは在りません。

民主主義は大変贅沢なモノなのです。単に民主主義制度という入れ物を作っても、その中に入れる民主主義精神が無ければ、民主主義国家は出来ません。民主主義制度だけを導入しても民主主義国家にならない国は現在でも世界に沢山在ります。

それでは、民主主義的精神はどの様に作られるかと言うと、国民の大多数が生活に余裕があることが必要条件となります。国民の大多数が貧しく、食うや食わずで生活に追われている国では民主主義的精神は生まれません。だから真の民主主義は大変贅沢な制度なのです。

多くの国民が豊かになり、生活に余裕が出てくれば、本を読んだり(別に本で無くとも良いのですが、)して、知識を得て自分の考えを持つようになります。そして、他者と議論することによりその考えをより洗練化することが出来ます。そして、各人が自分の考えを持ち、他者の考えも尊重する結果として、民主的な社会は生まれるのです。食うや食わずの国民が大多数を占める国では、日々の生活の追われ勉強して、議論を重ねる処ではありません。

民主的国家を維持するためには、大多数の国民に生活の余裕がある(中産階級が大多数を占める)事が必須となります。これは世界的に見ても大変贅沢な国家なのです。処が、現在世界では中産階級の没落が進み、持てる者と持たざる者の二極化が進みつつあります。富裕層は自分の特権を維持できれば良いだけなので、別に民主主義的国家を求める必要はありません。まさに民主主義の危機に瀕していると言えます。

そして、民主主義精神を失い形骸化した民主主義制度は、極めて民主的に独裁者を生み出す結果となります。

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