前回、民主主義とは大変贅沢なモノで国民の大多数が生活に余裕を持つようにならないと定着しないと述べた。
かつて日本や欧米諸国が中国に積極的に投資した時には、中国国民が豊かになればやがては、民主主義が根付くであろうとの期待が背景にあった。
しかし、市場経済を導入した中国は、一部の国民は驚くほど豊かになったが、大多数の国民はいまだ生活苦を抱えている状態だ。これでは民主主義は発生しないし、根付かない。
民主主義が定着するには、生活が豊かとなり自身で勉強する余裕が出来て、知識を取り入れ、自分の考えを持ち、他者と議論することにより考えを洗練化し、国民一人一人の意見が、国を動かす大きな力となっていかなければならない。国民の大多数が生活苦に追われ、日々の生活が手一杯の状態では民主主義は発生しない。一部の富裕となった人々は自分の特権的位置を守るため民主化には冷淡となる。
さて、このまま中国が発展していけば、否応なく国民全体は現在より豊かな生活を享受できるようになる。その時、中国は真に民主化されるであろうか?ここに独裁国のジレンマがある。為政者にとっても国が貧しいよりは豊かな方が良い。しかし、国民全体が豊かになれば自分達の地位が脅かされる。国の発展を採るか、自分達の権力を守る方を取るかのジレンマが発生することになる。
現在中国では思想統制をとり、外国からの情報を遮断し、集会を規制している。しかし、国民生活が豊かになれば、何処からか知識を仕入れて来て、自分の意見を持つようになり独裁政権は危うくなっていくだろう。その時為政者は経済発展を諦めても自分達の地位を守ろうとするのではないだろうか?