アイオア州での共和党大統領指名集会でのトランプ候補の圧倒的勝利により次期米国大統領はトランプ氏に決定したような雰囲気がある。そしてそれと共に、米国の民主主義の将来が懸念されている。
歴史的に見て独裁者や独裁体制は、暴力により成立した例は多いが、一方では、きわめて民主主義的手段により独裁体制が成立したケースも多い。
多くの人は、民主主義制度(民主主義システム)を導入すれば、たちまち民主主義国家が出来上がると誤解しているが、大きな間違いである。世界では独裁者が倒され民主主義システムを導入しても、動乱に明け暮れちっとも民主主義国家にならない国は多い。まだ独裁者が君臨していた方が平和な生活を送れた国や地域は多い。
民主主義とは大変に贅沢なシステムであり、そのため世界でも真に民主主義国家と呼べるのは半数にも満たない。歴史的に見て、民主主義が成立する絶対条件は社会の中間層が力を持つことであり、中間層が力を持てば、民主主義システムは後から付いて来るものである。
富裕層は自分の富と地位を護る事だけを考え、それ以外の事は考えない。貧困層は日々の生活を送る事に汲々として明日の政治を考える余裕は無い。生活に余裕のある中間層だけが、自分の頭で物事を考え、自分の努力により情報を得て、人と議論をする事により考えを洗練化し、真に民主主義的体制を作ることが出来る。
今世界では、中間層が崩壊し富裕層と貧困層への格差となって現れようとしている。民主主義の危機は迫っている。