ロシア軍のウクライナ進撃のスピードがおちている様です。恐らく当初計画では、6日間戦争(第三次中東戦争:1967年)の様に中国に配慮して北京オリンピックとパラリンピックの間隙に短期間で決着を付けたかったのでしょうが、戦略を変更してきていると思います。
ロシア軍は、最初に奇襲によりウクライナの空軍基地を無力化し、3方面から(内と外の違いはありますが)同時に侵攻するなど、6日間戦争を研究した可能性はあります。しかし、実際にはウクライナ軍の予想以上の頑強な抵抗に遭い、戦略を見直して短兵急な攻撃からじっくりと腰を落とした侵略作戦に変化させてきた様に見えます。外国からの武力干渉の心配は無いと判断されたので慌てる必要は無いと言うことでしょうか。
キエフに向かうロシア軍の車列が60キロ以上続いているとのことです。米国も偵察衛星から状況を注視しており、ある程度の情報はウクライナ側に伝えられていると思いますので、このキエフに向かうロシア軍列に攻撃を出来ないところを見ると、ウクライナ側は制空権(航空優勢)を最初の奇襲攻撃で喪失しており攻撃機による空襲を行う能力は、最早無いものと予想されます。またミサイルや長距離砲によるロングレンジでの攻撃能力も喪失しているものと考えられます。現在のウクライナ軍の主要兵器はカールグスタフ(自衛隊も使用している歩兵砲)やスティンガー(携帯型地対空ミサイル)等近接攻撃兵器しか無いのでは無いでしょうか。
ロシア軍は、じっくりと体勢を立て直した後、一機にキエフを包囲する可能性があります。戦車は市街戦にはむいておらず、いきなり戦車を投入するとモロトフカクテル(火炎瓶)の餌食になる恐れがありますので、第一段階としては遠巻きに包囲して、周囲から無差別にミサイルや長距離砲を打ち込み抵抗を封じて徐々に包囲の輪を絞め上げて行く。そして、第二段階として航空機により目視で抵抗拠点と成り得る場所を一つ一つ破壊して行く。最後に瓦礫の山と化した市街に戦車や地上部隊を投入して制圧する事が考えられます。
現在ロシア軍の食料補給が間に合っていないのでは無いかとの観測がありますが、10万の兵が飢えるより300万の市民が飢餓に瀕する方が先でしょうから、包囲したまま兵糧攻めにしてゼレンスキー大統領の投降を待つかも知れません。
現在欧米や日本など多くの国がロシア制裁に動いておりますが、これらの国の国民が包囲鐶の中に閉じ込められて人質とされてしまうと、それをネタに制裁に対して揺さぶりを掛けて来る恐れがありますので、一刻も早く脱出させる必要があるでしょう。