ノヴォロシアと沿海州

現在の中華人民共和国の領土は、かつての清帝国の領土をおおむね継承している。清帝国は中国東北部に居住していた女真(ジュルチン)族が明帝国を滅ぼして設立した征服王国であることは歴史に詳しい読者ならご存じのことであろう。

女真族は建州女真(マンジュ)、海西女真(フルン)、野人女真の三大勢力に別れていたが、建州女真に生まれたヌルハチが統一して、金国(アイシングルン)を建国し、やがて明帝国を征服し、現在の中国の版図を形作ることになる。言わば中国東北部は現在の中国の発祥の地と言える。ちなみに中国東北部全体をさす満州と言う呼称は、建州女真のマンジュから来ている。

さて、現在の中国発祥の地とも言える女真族の居住していた地域は、今どうなっているかかというと、かなりの部分がロシア領となっている(一般に沿海州と呼ばれている)。これは、1858年の璦琿(アイグン)条約により清国から割譲した結果であり、ウラジオストックやハバロフスクはこの地に建設された。この清国からの割譲の経緯は、暴力団でもこんな無法なことはしないだろうと言うような恫喝によるものであったが、ここでは詳細は控える。

現在ウクライナ侵略中のプーチンが侵攻の大義として、かつてこの地は、ノヴォロシアというロシア帝国の一部であったとしているが、その理屈で言えば、その当時、沿海州一帯は中国の一部であり、従って、中国にはこの地に侵攻する権利が有り、プーチンは甘んじてそれを受け入れる義務が有ることになる。

現在ロシア軍はウクライナ侵略に軍備を裂いており、失地を回復する絶好のチャンスかもしれない。

皇国の興廃 この一戦にあり

明治38年(1905年)5月27、28日の二日間にわたって日本海軍連合艦隊とロシア帝国第二太平洋艦隊(バルチック艦隊)との間に対馬から鬱陵島海域の日本海に於いて激戦が交わされた。後に日本海海戦と名付けられた海上戦闘である。

この頃中国大陸に於いて日本陸軍とロシア陸軍の激戦が繰り広げられており、シベリア鉄道により陸路補給の出来るロシア軍と違って、海上交通により日本本土より補給をしなければならない日本軍にとって、制海権の確保は最重要課題であり、バルチック艦隊の有力艦艇を例え数隻でも打ち漏らしたら、大陸への海上交通が脅かされる危機的状況にあった。

まさにサッカーW杯の予選に例えれば、単に勝ち点を奪うだけではだめで、6点差とか8点差とかの大量得点を得なければならない戦闘であった。

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俳句

昨日のプレバトの俳句で時計がテーマだったので思わず詠んでしまいました・・

対外メッセージ

5月9日の対ドイツ戦勝記念日でプーチン大統領がどのようなメッセージを発するのか世界の注目を集めた。結果としては実質戦争状態にあるウクライナ侵略を公式に戦争宣言することもなく、従来の発言に対して真新しいメッセージは無かった。従って今後もウクライナ侵略はこれまで通り続いて行くのだろう。

これより重大なメッセージは同じ日に米国のバイデン大統領から発せられた、レンドリース法の復活であろう。第二次大戦においてソ連軍がナチスドイツを崩壊に導いた古い法律を蒸し返してきたのは皮肉めいている。ロシア軍を相手に善戦しているウクライナ軍にとって無尽蔵な工業力を持つアメリカが直接背後に立ったのは大きな意味を持つ。

メッセージが発せられた日は違うが、これと並び大きなメッセージは、岸田総理による「北方領土はロシアにより不法に占拠されている。」との公式見解であろう。岸田首相としては深い考えを持たず、ロシアを非難する欧米諸国に足並みを揃えて、軽い気持ちで政府見解としただけであろうが、人は自分を基準として考えるものだ-もし、プーチンが岸田首相の立場に立って考えれば、世界に対して自国領土が不法占拠状態にあると言えば、それは武力により取り返す!と言う意味だと考えるであろう。従って苦戦しているウクライナに極東から軍事力を送りたくても送る事が出来ない。極東の軍備を手薄にすればその隙に日本が攻めてくると疑心暗鬼に駆られるだろう。

日本は防衛装備移転三原則によりドイツのようにウクライナへ攻撃兵器は送れないが、もしかするとこの政府見解がウクライナに対する最大の支援になっているかも知れない。

しかし、日本人は意識していなくてもロシアの脅威は増大している。膠着するウクライナ情勢から目先をそらすため、北方領土を守るため、突然日本に侵攻するリスクは存在する。要は短期間で抵抗無く日本を屈服させる算段がつくか否かである。日本はウクライナの様にロシアと陸で接しておらず、海が境界線となっているが、直ぐ隣にロシアが存在するリスクを忘れてはならない。

続くジェノサイド 5月9日でも侵略は終わらない

まるでSF映画の宇宙人の侵略のようだ。ロシア軍によるウクライナの侵略をニュースで見るとそう感じる。そこには人間性の一片も感じられない無差別の破壊と殺戮しか無い。

おそらく、ウクライナ住民を残したまま町を占領しても住民による厄介なレジスタンス活動が起きることを予想して、あらかじめ住民を虐殺するか、親ロシアか否かを選別してシベリアや極東に移送することにより、ロシア軍にとって無害な親ロシア派住民だけを残して、後はロシア本国からロシア人を入植させる計画なのではないかと予想される。

5月9日の対ナチスドイツ戦勝記念日で何らかのメッセージがプーチンにより発せられると思うが、拡大した戦線は5月9日でも停戦状態になるとは思えない。更にウクライナに隣接するモルドバでも焦臭くなってきた。脆弱なモルドバを占領し、此処を策源地としてウクライナ西部に攻め込み、ヨーロッパからの補給を絶つこと計画しているのでは無いだろうか?

戦前の日本軍が、蒋介石の指揮する中華民国を屈服させるため、中華民国への米英からの補給路であった仏印に進駐し(これが米国の対日参戦を決意させた)て中国を包囲し、新たな援蒋ルートを絶つために中国に接するビルマ(現ミャンマー)に侵攻した経緯を思い起こさせる。結局日本軍の野望はインパールのジャングルで潰えたのであるが、プーチンの野望は何処で潰えるのであろうか?

ハインリッヒの法則 -悲劇を起こさないために

ハインリッヒの法則と言うものがある。これは同じ人間(組織)が330件のヒヤリとするような事例を起こした場合、内300件は全く無傷であるが、29件は軽微な事故を発生し、1件は重大な事故を引き起こすという統計データに基づく法則である。

先日、知床観光の遊覧船が痛ましい事故を起こしたが、今回の甚大な被害の以前に、誰も気付かなかったギリギリ暗礁に乗り上げる寸前のような事態が多数発生していたと推測され、実際に沈没には至らなかったが、座礁事故など複数の事故が記録されている。ここで何らかの安全手順を定め対策を打っておけば、悲惨な事故は防げたであろうが、結局ハインリッヒの法則に予言された確率論のように甚大な事故を引き起こし、多数の人命を失うことになってしまった。

佐々木朗希 まぼろしの連続パーフェクト

ロッテの佐々木朗希投手が17日の対日本ハム戦で8回までパーフェクトピッチングを続けながら、9回のマウンドに立つ前に降板させられました。このニュースに2007年の日本シリーズの中日-日ハム戦での8回までパーフェクトピッチングを続けながら9回のマウンドに立てなかった山井投手のまぼろしの日本シリーズパーフェクトを思い出しました。

まだシーズン序盤で在り、投手戦となり延長も視野に入れなければならず、球数など、ロッテの井口監督も種々の要件をかんがみて苦渋の決断だったと思います。パーフェクト試合達成の要件としては、比較的早い段階で味方が得点して投手を援護することが重要ですが、互いに無得点では厳しい状況といえます。

1973年の阪神-中日戦も投手戦となり江夏豊投手が延長11回までノーヒットノーランを貫き、最後は自分のサヨナラホームランで決着をつけるという大記録を残していますが、シーズン後半で在り、まだ投球間隔や球数制限など考慮されていなかった時代なので達成出来た記録なのかもしれません。

この江夏投手は傲岸不遜の態度がある選手で、この時も「野球は一人でも出来る」と言う言葉を残し顰蹙を買うことになり、その後トレードで放出されますが、1979年の広島-近鉄の日本シリーズで”江夏の21球”と云われる名ピッチングを演じました。日本球界に於ける偉大なピッチャーの一人でした。

カチンの森の記憶 -ウクライナ捕虜の行くへ

ウクライナ軍の必死の抵抗により首都キーウの包囲は免れたようである。一方南東部の要衝のマリウポリはロシア軍により完全に包囲され陥落も時間の問題とみられている。最後まで抵抗を試みるウクライナ軍(アゾフ連隊?)に対して17日午後1時(日本時間同日午後7時)までに降伏すれば命を助ける(逆の言い方をすれば、降伏しなければ皆殺しにする)と、呼びかけているようだ。

独ソ戦最中の1943年、当時ドイツ軍が占領していたスモレンスクのカチンの森で、土中に埋められていた大量のポーランド将兵の遺体が発見されている。第二次大戦初頭にソ連軍に侵攻され捕虜としてソ連国内に連れ去られたポーランド軍捕虜の変わり果てた姿であった。(これらの遺体発見の報道はドイツ軍の謀略であるとの説も在る。)

一般市民を後ろ手に縛り上げて虐殺しているロシア軍が、停戦後ウクライナ捕虜を無事に帰還させるか不安がある。

特定少年の実名公表

山梨県で殺人・放火した19才の特定少年の実名が公表されました。50年以上前に連続殺人により実名報道された当時19才の少年であった永山則夫事件を思い出しました。

何にでも使える魔法の言葉

ポーランド訪問の林外相の帰国に併せて、政府専用機で希望する20人ほどのウクライナ難民を日本に移送するとのことだ。現在難民に対して日本語教育の実施が考えられている。以前アメリカの人と食事をした時、彼は「日本語は難しい」と言っていたが、「そんな事は無いよ、この一言さえ知っていれば、ハローでもサンキューでもアイムソーリーでもどんな場合でも使えるよ。」と、ある言葉を教えたことがある。

クイズ:この何にでも使える魔法の言葉とは何でしょうか?

答え:「どうも、どうも」です。

人と会った時、軽く手を上げて「どうも、どうも」と言えばハローだし、嬉しそうな顔をして「どうも、どうも」と言えば、サンキューだし、申し訳なさそうな顔をして「どうも、どうも」と言えばアイムソーリーになると教えたら、笑っていた。その後彼が「どうも、どうも」を使ったか知らないが、使っていれば面白い外人と言うことでその後のコミュニケーションが円滑になったのではなかろうか?